広島高等裁判所松江支部 昭和26年(う)192号 判決
職権を以て原判決を審査するに原判決は主文において押収の金二千円はこれを没収するとしその理由として公職選挙法第二百二十四条を適用している。然しながら右法条は収受し又は交付を受けた利益を収受し又は交付を受けた者から没収する旨の規定であつて交付した者から没収する規定でないこと同条の文理上明かである。尤も原判決の法令の適用を見ると公職選挙法第二百二十一条第一項第五号を掲げておりこれによると判示事実は交付罪を以て論ずべく交付の目的物が交付者の手裡に還つたのであるから右選挙法第二百二十四条により押収の金二千円を没収し得るものと解したようにも思われるが判示事実はこれを右選挙法第二百二十一条第一項第二号に問擬するを正当とすべくそうすると前記金二千円は交付罪の目的物としてこれを前記選挙法第二百二十四条により没収することはできないものと解すべきである。然るに原審これを同法条を適用して没収したことは原判決は法令の適用を誤つたものであり、且その誤が判決に影響を及ぼすことが明かであるから原判決はこの点において破棄を免れない。